小説「新・人間革命」 人間教育3 2月18日

 婦人は、夫に、「信心してみようと思うの」と話した。すると、夫は言った。
 「俺は、三年前、学会の話を聞いた時に、本当は、信心をしたかったんだ。しかし、おまえが、あんなに反対したから……」
 彼女は、すぐに、仏法の話をしてくれた和歌山市の学会員に、速達で手紙を出した。
 「あなたの言われていた信心をやりたいと思います。すぐに来てください……」
 婦人の一家は、一九五七年(昭和三十二年)六月、晴れて入会する。
 以来二十年、事業も軌道に乗り、借金も返済した。はつらつとして学会活動に励み、婦人は、県の幹部として活躍。夫妻で幸せを満喫している。
彼女が一緒に死のうと思った長男は、創価大学の四年生となり、さらに、海外の大学院に進もうと、勉学に励んでいるというのだ――。
 山本伸一は、大ブロック担当員勤行会で、この婦人の体験を紹介したあと、訴えた。
 「御本尊の力は、一朝一夕には、わからないかもしれない。しかし、十年、二十年と、真剣に信心に励んでいくならば、結果は、厳然と表れます。
 私たちの現実の日々は、悩みだらけでしょう。学会活動の場でも、わからずやばかりで、もうやっていられないと思うこともあるかもしれない。
また、皆さんのなかには、子どもさんの問題で悩んでいたり、ご主人と喧嘩ばかりしている方もいるでしょう。会合に来る交通費を工面するのも大変な方や、病苦と闘っている方もいるでしょう。
 しかし、戸田先生は、大確信をもって、よく、こう言われておりました。
 『朝晩の勤行を励行し、懸命に唱題し、折伏を行っていくならば、人間革命できないわけがない。幸福にならないわけがない。これだけは断言しておきます』
 大ブロック担当員の皆さんは、必ず幸せになってください。また、大ブロックの人たちを、一人も残らず、幸せにしていってください。皆さんは、その幸福責任者なんです」