小説「新・人間革命」 人間教育8 2月24日

山本伸一は、大ブロック座談会を担当した最高幹部が学会本部に帰ってくると、必ず尋ねることがあった。それは、青年は何人集っていたのか、特に女子部員は元気であったのかということであった。
 そして、その大ブロックの女子部員が、はつらつと、研究発表や体験発表、活動報告などをしていたことを聞くと、伸一は、途端に笑みを浮かべるのであった。
 「嬉しいね。未来があるね。学会が、どうして、ここまで発展することができたのか。その要因の一つは、常に青年を大切にし、青年を前面に押し出して、育ててきたからだよ。
 時代は、どんどん変わっていく。信心という根本は、決して変わってはいけないが、運営の仕方や、感覚というものは、時代とともに変わるものだ。
学会は、その時代感覚を、青年から吸収し、先取りして、新しい前進の活力を得てきた。
 壮年や婦人は、ともすれば、これまで自分が行ってきたやり方に固執し、それを見直そうとはしないものだ。しかし、それでは、時代の変化についていけなくなってしまう。
 社会の流れや時代感覚は、青年に学んでいく以外にない。その意味からも、男子部や女子部が、壮年や婦人にも、どんどん意見を言える学会でなくてはならない」
 伸一は、あらゆる角度から、未来を、二十一世紀を、見すえていた。
 たとえば、仏法には、個人や社会のかかえる、あらゆる問題を解決する原理が説かれている。それを、いかなる角度から、どう語っていくかも、時代によって異なろう。
 初代会長・牧口常三郎は、価値論を立て、「罰」という反価値の現象に苦しまぬよう警鐘を鳴らすことに力点を置いた。
第二代会長・戸田城聖は、戦後、広く庶民に、仏法の偉大さを知らしめるために、経済苦、病、家庭不和等の克服の道が、仏法にあると訴え、御本尊の功徳を強調した。
では、これからは、人びとは、仏法に何を求め、私たちは、どこに力点を置いて、仏法を語るべきなのか。