小説「新・人間革命」 人間教育9 2月25日

〝心を強くし、困難にも前向きに挑戦していく自分をつくる――つまり、人間革命こそ、人びとが、社会が、世界が求める、日蓮仏法、創価学会への期待ではないか!
 もちろん、経済苦や病苦などを解決していくためにも、人びとは仏法を求めていくであろう。
とともに、特に、若い世代のテーマは、自己の変革、生き方の転換に、重点が置かれていくにちがいない。つまり、『人間革命の時代』が来ているのだ〟
 それは、山本伸一が、青年たちと、忌憚のない対話を交わすなかで、実感してきたことであった。
 また、医療の進歩等によって、二十一世紀には、人間の寿命は、ますます延び、高齢化が進むであろう。
それにともない、人びとの死への関心は高まり、永遠の生命を説き明かした仏法の死生観が、クローズアップされる時代が来ることは間違いない。
 伸一が、教学運動に力を入れた背景には、仏法を、時代の要請に応えた「希望の哲学」として、現代社会に復権させなくてはならないとの、強い思いがあったからである。
 そして、その担い手となっていくのが、男女青年部である。
 伸一は、最高幹部たちに語った。
 「かつて、私は、青年部の室長として、一切の活動の企画を練り、すべての主要行事の運営を担ってきた。
それによって、創価学会の大前進があった。したがって、これからも、男女青年部が私の戦いを継承し、室長の自覚で一切を推進していってもらいたい。それが、私の願いです。
 そうなれば、学会は『青年学会』として、永遠に発展し続けることができるからです。
 そのために幹部は、青年と会ったら、声をかけ、心から励ましてほしい」
 中国の政治家で、孫文の夫人であった、宋慶齢は訴えている。
 「青年は革命の柱石です。青年は革命の成果の守り手であり、歴史をよりすばらしい世界へ向けて前進させる力でもあります」(注)
 
■引用文献 :  注 「新中国のために奮闘する」(『宋慶齢選集』所収)仁木ふみ子訳、ドメス出版