小説「新・人間革命」 灯台 5 4月25日

「仏法即社会」である。ゆえに、仏法の哲理を社会に開き、時代の建設に取り組むことは、信仰者の使命である。それには、一人ひとりが人格を磨き、周囲の人びとから、信頼と尊敬を勝ち得ていくことだ。
人間革命、すなわち、人格革命こそが、そのすべての原動力となるのである。
 職場にあっては、仕事の第一人者、勝利者としての実証を示し、信頼の柱となるのだ。地域にあっては、友好の輪を広げ、和楽と幸福の実証を打ち立て、地域の希望の太陽となっていくのだ。
仏法は、各人の人格、生き方を通して、社会に輝きを放つのである。
 一九七七年(昭和五十二年)二月二日朝、山本伸一は、学会本部で、この日に本部周辺で行われる会合の開催報告を目にしていた。
 彼は、午後六時半から創価文化会館内の広宣会館で開かれる、東京社会部の勤行集会開催の報告書を見ると、傍らの幹部に言った。
 「この勤行集会には、私が出席します。社会の第一線で活躍している尊い同志を、力の限り励ましたいんです!」
 社会部は、職場、職域を同じくするメンバーが、互いに信仰と人格を磨き合い、共に職場の第一人者をめざし、成長していくことを目的に、結成された部である。
その誕生は、オイルショックの引き金となった七三年(同四十八年)十月の、アラブ諸国イスラエルが戦いに突入した第四次中東戦争の勃発から、十八日後の十月二十四日のことであった。
 この日、東京・両国の日大講堂で行われた十月度本部幹部会の席上、社会本部に、社会部、団地部、農村部、専門部の四部の設置が発表されたのである。
 団地部は団地に住む人びとの、農村部は農・漁業等に従事する人びとの組織である。専門部は専門的な技能・実力をもち、社会の中核として重責を担う人びとの集いである。
いずれも、信心を根本に、社会、地域に貢献していくことをめざして設置されたものだ。
 本来、仏法とは、人のため、社会のために尽くす、真の人間の道を示しているのだ。