小説「新・人間革命」 人材城 3 2012年4月12日

山本伸一は、熊本文化会館で由来の碑の除幕を終え、部屋に入ると、次々に句を詠み、色紙に認めていった。
そして、ほどなく、県長ら十人ほどのメンバーと懇談会をもった。
「皆さんに贈るために、句を詠みました。
『勝城山 広布の万年 築きたり』
これは、県長の柳節夫さんに贈ります。
『勝城山』は、熊本文化会館の別名です。勝利、勝利の熊本県にしていってください。
『妙の華 勝城山に 薫りけり』
この句は、県婦人部長の福知山昌江さんに贈ります」
伸一は、さらに、幾つかの句を詠み上げ、色紙を手渡していった。
「君よ立て 熊本広布に 馬上舞」
「懐しき わが友光りぬ 勝城山」
それから、彼は、皆に語った。
「立派な文化会館が完成しました。いよいよ立派な人材が育っていかねばならない。
では、学会の人材の要件とは何か──。
根本的には、生涯、広宣流布のために生き抜く人です。学会と共に、師弟不二の大道を歩み続けていこうと決意し、それを実践している人です。
しかし、人間の心のなかを見ることはできない。一生懸命に頑張っていたとしても、奥底の一念は、自分が偉くなって権勢を得ようという、野心である場合もあります。
最悪なケースは、中心幹部が、それを見抜けずに、そういう人たちにおだてられ、乗せられてしまうことです。
もしも、名聞名利の人や、自分のために組織を利用しようという人物に、学会が牛耳られてしまったら、仏法も、学会の精神も踏みにじられてしまう。これほど、恐ろしいことはありません。
ゆえに、リーダーは、一人ひとりの奥底の一念を見極めていく眼をもつことです。
そして、後輩の根本的な一念が濁ったり、曲がったりしないように、的確に指導し、広宣流布に生き抜く本物の闘士に育てていくんです」