小説「新・人間革命」 2013年 1月16日 法旗 36

広布第二章の「支部制」をもって、広宣流布の上げ潮をつくるうえで、それを破壊する元凶となるのが、同志間の怨嫉である。
 ゆえに山本伸一は、その根本原因を明らかにし、怨嫉の根を絶っておきたかったのである。
 「同志が互いに怨嫉し、憎み合ったり、足を引っ張り合ったりすれば、いくら口では正法正義を叫んだとしても、自分の心は大聖人の御心に弓を引いてしまうことになるんです。
 その罪は重い。この一点だけは、絶対に忘れないでいただきたい。
 人間は感情の動物だから、『いやだな。自分とは合わないな』と思う人と、一緒に活動しなければならない場合もあるでしょう。
 その時は、『あの人と団結できる自分にしてください。仲良くなれる自分にしてください。あの人を尊敬できる自分にしてください』と祈り抜いていくんです。
 そうすれば、自分の境涯が革命できます。自分が変われば、どんな人とも団結していくことができるんです。
 大切なのは、仲が良いことです。そこに友情があり、同志愛が生まれます。そこに信心の喜びがあり、勝利があるんです」
 愛媛文化会館に集った県幹部たちは、真剣な面持ちで、伸一の話に耳を傾けていた。
 「話は変わりますが、人生は宿命との戦いといえます。宿命に泣き、宿命に流されて、あきらめてしまう人も多い。
 しかし、信心ある限り、打開できない宿命はありません。
 自動車は、エンジンを始動させなければ動かない。しかし、エンジンを回転させれば、右にも、左にも走っていける。
 同様に、信心のエンジンを回転させていけば、困難の坂を越え、過去世からの罪業、宿命も転換し、自分が欲する人生の軌道を、意気揚々と進んでいけるんです。
 戦いましょう! 勝ちましょう!
 わが人生の勝利の歴史を、共々に創っていこうではありませんか!」
 伸一は、全国に誕生する、すべての支部幹部に語りかける思いで、訴えたのである。