小説「新・人間革命」 勇将 30 2013年 3月19日
長野栄太は、一月六日の新春本部幹部会で発表された「支部制」の出発を、緊張の思いで聞いた。
それからほどなく、会長の山本伸一が出席して、四国研修道場で一月度の本部幹部会が開かれることを知ったのである。
しかも、その本部幹部会で、新支部長の抱負を発表するように、四国長の久米川誠太郎に言われたのだ。
彼は、ありのままの状況と決意を、原稿にまとめ、推敲を重ねて、この四国研修道場での本部幹部会に臨んだのである。
長野は登壇すると、元気な声で語り始めた。
「全国の支部長を代表して、一言、抱負を述べさせていただきます。
私は、現在、皮膚科の医長として、地元の国立療養所に勤務しております。
今、私たちの庵治支部は、四国研修道場をわが地域にもつことができた、喜びと希望にあふれております。
さらに、新支部誕生の朗報に沸き返っております。
昨夜の二つの座談会場でも、合計約百人の同志が集い、功徳の体験が活発に語られるなかで、『さあ、草創期の支部に負けずに頑張ろう』との声が数多く聞かれました!」
ここで彼は、地域の特色に触れ、庵治は上質な石として世界的に注目される庵治石の産地であり、歴史的には、水軍の基地があった場所であると紹介。
「今度は、妙法広宣の基地として戦ってまいる決意であります」と力を込めて訴え、話を続けた。
今、わが支部内では功徳の体験が続々と聞かれます。
全支部員が信心の確信と喜びを満喫できるまで、全生命を燃え上がらせ、現場第一主義に徹して、戦い抜いてまいります」
伸一は、長野の顔をのぞき込むようにして、大きく頷いた。