小説「新・人間革命」 勇将 32 2013年 3月21日

山本伸一は、各支部にあっては、地域広布を担ううえから、具体的な拡大の目標を定めて活動に取り組んでいくことが大事であると強調した。
 そして、こう話を続けた。
 「支部制の発足により、広宣流布の歩みは加速され、二十一世紀をめざして、学会活動の在り方も多元的になっていくでありましょう。
 しかし、そうであればあるほど、基本を疎かにしてはならない。
 では、私たちにとっての基本とは何か。
 それは、勤行であります。御本尊への真剣にしてひたぶるな祈りです。
 また、眼前の一人に幸せの道を教えようと、仏法対話し、弘教することです。
 さらに、その人が人材として育っていくまでお世話をする──それが、一切の仏道修行の根本であるといえます。
 新支部長・婦人部長をはじめ、幹部の皆さんは、どうか、全同志を自分以上の人材に育てていこうと、心を決めてください。
 そのためには、一人ひとりを心から尊敬し、大切にし、理解し、守り、讃嘆していくんです。
 無名の一同志のために尽くし抜くことこそ、最も大事な信心の基本姿勢であることを、夢寐にも忘れないでいただきたい。
 実は、聖職者と民衆が上下の関係になり、権威主義に陥ってきた宗教の歴史を転換していく道も、この実践のなかにこそあります。
 また、これが、ともすれば、すべての組織が陥りかねない、官僚的、形式的な惰性を脱皮していける、ただ一つの道なのであります。
 さらに、それは、大正法を令法久住していくうえでも、絶対の要請であると申し上げておきたい」
 宗教も、国家も、あらゆる運動も、決して人間を手段にしてはならない。
 どこまでも人間を守ることを目的としなければならない。
 それが、人間主義である。
 一人の人を大切にする──この平易な言葉のなかに、生命の尊厳を説く仏法の思想と哲学が凝縮されているのである。
 そして、その実践のなかに、未来を開く、新しき人間の連帯が創られていくのである。