小説「新・人間革命」 勇将 36 2013年 3月26日

本部幹部会が行われた日の夕刻、香川全県に「明二十二日の午前十一時から、庵治の四国研修道場で勤行指導会が行われる!」との連絡が、電撃のごとく走った。
 連絡を聞いた会員は、皆、色めき立った。
 『研修道場には山本先生がおられる。先生が出席されるにちがいない!』
 二十二日は、香川の同志が、朝から続々と研修道場に集って来た。
 「高齢者から子どもさんまで参加しています。講堂は、今、半分ぐらいの人です」
 山本伸一に、刻々と報告が寄せられた。彼は、幹部に、矢継ぎ早に指示していった。
 「講堂が定員に達したら、研修棟もすべて開放してください!
 寒いので風邪をひいたりすることのないように、参加者を外で待たせず、すぐに館内に案内するんです。
 それから、講堂が埋まったら、昨日の本部幹部会の録音テープを流してください」
 さらに、周りにいた県長らに言った。
 「副会長や、方面・県幹部は、部屋の中で待機しているのではなく、玄関前で、丁重に参加者を歓迎するんです!
 仏を迎えるように、『ようこそ! よくいらっしゃいました。皆さんの家だと思って、ゆっくりしていってください』と言うんです。
 深々とお辞儀をし、一人ひとりの手を握り、心から敬い、讃えていくんです。
 創価学会は、そういう世界でなくてはならない。そこに、仏法の実践があるんです。
 いくら『皆が仏だ』などと言っていても、寒いなか、同志が来ても知らん顔をしていたのでは、仏法ではありません。
 この立派な研修道場も、会員の皆さんの浄財によって造ることができた。会員の皆さんが主役なんです。
 幹部は会員に仕えるのだという自覚を、しっかりもつことです」
 伸一は、組織の中心となる幹部の意識変革がなされてこそ、新しい時代に即応した広宣流布の伸展がなされると考えていた。
 人間の絶えざる変革のなかにこそ発展がある。