小説「新・人間革命」 奮迅 3 2013年5月6日

杉並長の三枝木健次は、方南総ブロックの総ブロック長らの幹部に伝えた。
 「会長の山本先生から、杉並区の支部結成大会に出席してくださるというお話があり、方南総ブロックを推薦しました。
 それで日程は、一月二十七日の夜ということになりました。
 先生のご出席は、まだ確定ではありませんが、ほぼ間違いないと思います」
 総ブロック長も、総ブロック委員も、喜びと緊張の入り交じった声で、口々に応えた。
 「本当ですか! 武者震いを覚えます」
 「必ず大成功の支部結成大会にいたします」
 十八日夜、三枝木が出席し、大ブロック幹部の打ち合わせが行われた。
 ここで、この支部結成大会は全国初となることが発表された。
 会場は杉並文化会館の大広間と決まった。六百人ほど入る大会場である。
 支部の世帯数を上回る結集ができなければ、寂しい会合になってしまう。
 集った大ブロック幹部は、よし、大結集して、全国の先駆として恥じない支部結成大会にしようと、決意を固めた。
 大会当日まで既に十日を切っている。
 しかも、二十九日には、任用試験が実施される。
 大ブロック幹部の多くが、ほぼ連日、受験者と勉強を行うことになっていた。そのなかでの結集である。
 だが、皆が燃えていた。各大ブロックでは幹部が集い、誰がどの人に会って連絡、激励するかなどを詳細に詰めていった。
 そして、時間をやりくりしてはメンバーと語り合い、支部結成大会の意義を訴え、「題目を唱え抜いて、はつらつとした姿で参加しましょう」と呼びかけていったのである。
 物事を進めるには、大綱が決まったら、一つ一つの事柄に対して、いつ、どこで、誰が、何を行うのかなどを、具体的に検討していくことが肝要である。
 活動の推進にあたって、あいまいさを残しておけば、そこから破綻が生じてしまう。
 こまやかな漏れのない対応、小事の完璧な積み重ねのなかに、計画の成就があるのだ。