小説「新・人間革命」 奮迅 32 2013年6月11日

西峯富美は、本部幹部会で、支部婦人部長としての、この一カ月の活動を元気に語っていった。
 「私は、支部員さんとお会いするたびに、『何があっても、御本尊にお題目を唱え抜きましょう。
 一つ一つの学会活動に、自分の悩みや苦しみの解決をかけて、戦い、勝利を収めていきましょう』と訴えてきました。
 そうしたなかで、多くの方々が信心の功徳の体験をもつようになり、歓喜のなかに仏法対話の意欲が大いに湧き起こっています。
 そして、私自身、この二月、仏法対話を実らせることができ、大歓喜しております!」
 賞讃の大拍手が起こった。
 一切の活動において勝利の最大の起爆剤は、リーダーが先陣を切ることにある。
 率先垂範があってこそ、皆が勇んであとに続くのだ。「勇将の下に弱卒なし」である。
 西峯は、一段と声を弾ませ、話を続けた。
 「私は、この歓喜を、支部の皆さん一人ひとりに漏れなく伝えきるとともに、私の信条である『思いやりと、動いて動き回る実践』をもって、必ずや最高にすばらしい支部を築き上げてまいります」
 山本伸一は、西峯の報告に耳を傾けながら、支部幹部が、自分と同じ一念で、『なんとしても皆を幸せにしよう!』と、広宣流布に邁進してくれていることが嬉しかった。
 「師弟不二の道」とは、師の表面的な姿を真似することでもなければ、指示を待って、言われたことだけを行ってよしとする、受動的な生き方でもない。
 それは、弟子が師の心を心として、同じ一念に立つことから始まる。
 そして、師に代わって、広宣流布の全責任を担い立つなかにある。
 つまり、師の指導を深く思索し、わがものとして、人びとの幸せのため、広宣流布のために、勝利の旗を打ち立てていくなかにこそあるのだ。
 伸一は、支部長・婦人部長が「師弟不二の人」となり、『山本伸一』となって立ち上がり、勝ってほしかった。
 そうなってこそ、広宣流布の洋々たる未来が開かれるからだ。