小説「新・人間革命」 奮迅 34 2013年6月13日

山本伸一は、支部長・婦人部長をはじめ、幹部として学会活動に励んでいる同志の労苦を、誰よりもよく知っていた。
 だから、その意味を再確認することで、皆を励まし、元気づけたかった。
 「幹部の皆さんは、さまざまな会員の方々とお会いし、指導、激励を重ねておられる。
 時には『どうして、道理、真心が通じないのか』と、投げ出してしまいたい思いをすることもあるでしょう。しかし、大変であるからこそ仏道修行なんです。
 人びとの幸せのために尽くす姿は、仏の使い以外の何ものでもありません。地涌の菩薩でなければ、決してできない尊い行動です。
 忘れないでいただきたいことは、会員の皆さんがいて、その成長のために心を砕き、献身することによって、自己の向上があるということです。
 つまり、幹部にとって会員の皆さんは、すべて、人間革命、一生成仏へと導く善知識になると確信していただきたい。
 また、後輩の支部員の方々は、先輩幹部が先に立って、皆が成仏の山頂に登れるように、進むべき方向を示し、叫んでくれていることに、無量の感謝をすべきです。
 信心を導いてくれるということは、自分のみならず、一切の眷属まで崩れざる幸福に至る道を、教え示してくれることになるからです。
 したがって、その指導に対しては、謙虚に、求道心をもって従い、実践していくべきであります」
 伸一は、支部長・婦人部長に、満腔の期待を込めて訴えた。
 「よく、『何人、優れた人を生むかによって、その指導者の価値が決まる』と言われます。
 仏は、一切衆生の成仏を使命とされ、喜びとされている。
 仏子である私たちも、それぞれの立場で、後輩が自分より立派な指導者に育ち、活躍してくれることを祈り、それを望外の喜びとしていきたい。
 また、そこに、広宣流布のリーダーの生きがいがあります。
 どうか、後輩と共に動くなかで、信心の基本を、一つ一つ教え伝えていってください。
 『共戦』こそが人材の育成になります」