小説「新・人間革命」 奮迅 352013年6月14日

山本伸一は、最後に、「生涯持続」の信心を呼びかけた。
 「信心は一生です。額に汗し、歯を食いしばりながら、広宣流布の一つ一つの峰を乗り越えていくんです。
 大きな峰を越えると、さらに大きな峰が待ち受けている。
 しかし、信心の炎を燃やし、それらを登攀し抜いていくのが広宣流布の道であり、その帰結が一生成仏というゴールなんです。
 『大変だな』『ここまで頑張らなければならないのか』と、思うこともあるでしょう。
 でも、勇気を奮い起こして、自身の悩みの克服、宿命の転換をかけて、一歩、また一歩と進んでいってください。
 戦いのたびごとに、功徳の実証を示していくんです。
 信心の炎を燃え上がらせていくならば、いかなる険路も、強い心で、楽しく、勇敢に挑戦していくことができます。
 一生涯、信心を貫き通していった人が、信仰の真髄を会得した人といえます。
 支部長・婦人部長の皆さんは、広宣流布の名リーダーとなって、全支部員の頭上に、功徳の栄冠を輝かせていってください」
 本部幹部会は、歓喜のなかに幕を閉じた。
 伸一は、支部制は着実に軌道に乗りつつあるとの、手応えを感じていた。
 そして、その支部制を、さらに盤石なものにしていくには、男女青年部の強化に力を注がなければならないと思った。
 戸田城聖は、十二支部の布陣を構え、第二代会長として立った時、直ちに着手したのが、男子部、女子部の結成であった。
 今、伸一もまた、広宣流布の推進力である青年部を、本格的に育成しようと決意したのである。
 彼はまず、自ら男子部員のなかに飛び込み、指導、激励することにした。
 それも、東京の男子部ではなく、信越男子部の幹部会に出席することから、その行動を開始したのだ。
 各方面がそれぞれの特色を生かし、先駆となって、広宣流布を牽引していってこそ、「広布第二章」という新時代が開かれると、彼は強く確信していたからである。