小説「新・人間革命」 奮迅 36 2013年6月15日

二月度本部幹部会が行われた翌日の二月十九日、信越から東京・立川文化会館に男子部員が集ってきた。
 佐渡から海を越えてきた人や、長靴姿で雪深い山村から駆けつけてきた人もいる。
 どの顔も頬は紅潮し、求道と時代建設の息吹に満ちあふれていた。
 立川文化会館の最寄りの駅は西国立駅である。
 列車で上野駅に到着した人は、山手線で神田駅に出て中央線に乗り換え、さらに、立川駅から南武線に乗る。
 そして、一つ目が西国立駅である。
 参加者の大多数は、東京には何度も来たことがあったが、西国立駅となると、どこにあるのか、さっぱりわからなかった。
 それだけに、皆が迷うことなく会場に到着できるように、誘導態勢をつくるなど、方面や県の幹部の気苦労も多かった。
 会場の立川文化会館に勢ぞろいした信越の青年たちは、意気軒昂であった。
 『師匠を求めて、どこへでも行こう!』『広宣流布の激戦地があれば、勇んで飛んで行こう!』というのが、彼らの心意気であった。
 それこそが、男子部魂である。
 そもそも、この信越男子部の幹部会自体、「先生のいらっしゃるところに駆けつけます。
 師匠のもとから、広布の最前線へ、出発させていただきたい」との強い要請があって、開催が決まったのである。
 山本伸一は、その決意が嬉しかった。
 伸一自身、青年時代から、広宣流布の激戦地には、どこであろうと、欣喜雀躍して駆けつけた。
 蒲田へ、文京へ、小樽へ、札幌へ、大阪へ、山口へ、夕張へ、荒川へ、葛飾へ……。
 『同志が苦闘している──それを知りながら何もしないのは、無慈悲な傍観者である。断じてそんな生き方をしてはならない』
 伸一は、そう自らに言い聞かせてきた。
 皆が常に広宣流布の全体観に立ち、心を合わせ、勇猛果敢に行動していくなかに、真の団結があり、勝利の道がある。