小説「新・人間革命」 奮迅 37 2013年6月17日
「『さあ、出発しよう! 悪戦苦闘をつき抜けて!
決められた決勝点は取り消すことができないのだ』(注)
これは、ホイットマンの詩集『草の葉』にある、有名な一節であります」
集った青年たちは、伸一の指導の一切を吸収するのだとばかりに、眼を輝かせて、耳を澄ましていた。
このホイットマンの言葉は、伸一が若き日から深く心に刻み、暗唱してきた詩であり、これまでに何度となく、多くの青年たちに伝えもしてきた。
「さあ、出発しよう──とは、過去にとらわれるのではなく、晴れやかに、未来をめざして生きる青年の姿です。
『いよいよ、これからだ』という日々前進の心意気です。間断なき挑戦の気概です。
信心は持続が大切ですが、持続とは、単に、昨日と同じことをしていればよいという意味ではありません。
それでは惰性です。『さあ、出発しよう』と、日々、新たな決意で、自分を鼓舞して戦いを起こし続けていくのが、本当の持続の信心なんです。
毎日、毎日が、新しい出発であり、勝利の日々であってこそ、人間革命も、人生の大勝利もあることを知ってください。
悪戦苦闘──これは、広宣流布のため、自身の人生の勝利を飾るために、必ず経なければならない道程なんです。
苦労しなかった偉人はいません。偉業を成した人は、皆が、迫害、非難、中傷にさらされ、ありとあらゆる苦難と戦っています。
創価の大道を開いてくださった初代会長の牧口先生も、第二代会長の戸田先生も、軍部政府の弾圧と命を懸けて戦われています。
私たちは、その師子の子どもです。勇んで悪戦苦闘のなかに身を置き、それを突き抜けていくなかに、自身の人間革命があるんです」