若芽 47 2013年 12月16日
教頭の木藤優は、夏休みに入っても、日々、呻吟しながら、東京創価小学校の校歌の作詞に余念がなかった。
何度となく推敲を重ねたが、なかなか納得できるものにはならなかった。ようやく山本伸一に歌詞を提出したのは、八月末であった。
一、いつの日か いつの日か
ともに誓った この日の出会い
小鳥がうたう 武蔵野原に
明るくつどう このまなびやは
二、いつの日も いつの日も
はげみ学ぼう 大樹をめざし
くぬぎ林に 北風吹くも
未来をつくる このまなびやは
三、いつまでも いつまでも
大空あおぎ 手をとりあって
心にひめる ぼくらの誓い
富士も見つめる このまなびやは
一番には、遠い過去からの誓いのもとに、この小学校に集い合った喜びが歌われていた。
人間と人間が出会い、共に学ぶのは偶然ではない。過去世からの深い縁がある。そこに眼を向け、人の絆を大切にしていこうとする心が、強い友情を育む。
二番には、大樹をめざし、日々、努力を重ねて、困難を乗り越えていこうとする気概があふれていた。
そして、三番には、大志を胸に、互いに励まし合い、人生の誓いを果たそうとする決意が脈動していた。
また、一番は「明るい子」、二番は「ねばり強い子」、三番は「思いやりのある子」という、低学年のモットーがイメージされていた。
伸一は、歌詞の案を見て、やさしい言葉のなかに、東京創価小学校のめざすものが端的に表現された詞であると思った。