若芽 51 2013年 12月20日

 
運動会は、やがて閉会式に移った。
新木校長、来賓のあいさつのあと、山本伸一が演壇に立った。
「今日は、ちょっと難しい話をします。児童の皆さんよりも、むしろ、保護者の方にお話し申し上げたいと思います。
昨日、私は、筍を育てる名人と会いました。
その方が、こう語っていたことが、深く印象に残っております。
『多くの方は、「筍というのは、毎年、五月ごろになって初めて生長し、立派に大きくなる」と思っているようですが、それは間違いなんです。
実は、収穫する年ではなく、前年の七月、八月ごろに、地下茎に小さな芽ができる。これで勝負が決まってしまうんです。
四月とか、五月というのは、一つの結果としての姿を見るにすぎません』
この話を聞いて、私は感銘しました。
というのは、人間も同じだからです。
小学校時代の教育が、将来の大成を決める、大事な時期になるからです。
その意味において、私は、今日の運動会を見て、皆さん方のお子さんがすくすくと成長している姿に、大成の芽が育っているとの確信をもち、本当に安心いたしました。
私は、創立者として、この小学校の児童から、絶対に、人生の落伍者を出すことなく、全員が立派な社会のリーダーに育っていくよう、最大の力を注いでまいる決心です。
これからも応援をよろしくお願い申し上げます」
伸一の深い決意に、保護者も教職員も、胸を熱くした。
詩聖タゴールは、さまざまな困難を乗り越えて創立した学校を、自身と「不二」であると宣言し、「この学校の成長は私の人生の成長」(注)と語った。
伸一も、東京創価小学校をはじめ、創価一貫教育のすべての学校と自分とは、「不二」であると思っていた。
そして、児童の成長、卒業生の社会での活躍を、最高の生きがいとしていたのである。