若芽 52 2013年 12月21日

運動会のあと、山本伸一は、東京創価小学校の作法室で、教員たちと懇談した。
これには、関西の創価女子中学・高校などの教員も出席した。
伸一は語った。
「今日、私は、他校の小学生らと一緒にグラウンドを回りました。
それは、運動会に茶々を入れたかったからではありません。
創価小学校の児童は大事です。
しかし、創価小学校に入れなかった子どもも、私にとっては、大事な人たちなんです。
それを知ってもらいたかったからです。
また、児童にも、自分たちだけが特別であるかのように考えるのではなく、「みんな一緒なんだ。平等なんだ」という意識をもってほしかったからです。
これは、先生方にも、お願いしたいことなんです。
教員が特権意識をもてば、児童もその影響を受けます。
創価学園は、民衆から遊離したエリートを育てることが目的ではありません。
民衆に奉仕する英才を育てるための学園です。
また、教育の場にあっては、形を整えることより、実質が大事です。
もちろん形式も必要でしょうが、実質のない形式であっては意味がありません。
たとえば、運動会でマスゲームをやる。きちんとそろった、一糸乱れぬ演技をめざすことはいいでしょう。
しかし、それは、一つの目標にすぎない。
この目標に向かっていくなかで、児童の体力の向上を図り、協調性を培うことなどが獲得すべき課題です。
さらに、児童が、「どうすれば皆が団結できるのか」「テンポが遅れてしまう友だちがいたら、どうやって皆で応援すればよいか」などを、自分たちで考え、何かをつかんでいくことが大切なんです。
子どもたちの人間的な成長を離れて、教育はありません。
しかし、体裁ばかり考え、立派な演技をさせることが先行してしまうと、形式を追い求め、その実質が、ないがしろにされてしまう。
それが怖いんです」