求道3  2014年6月16日

山本伸一の一行は、午後三時過ぎ、東北平和会館に到着した。
この会館は、五月初めにオープンしたばかりであり、外壁は赤茶色のタイル張りで、地上四階、地下一階の堂々たる大法城であった。7車から降りた伸一は、出迎えた幹部らに語りかけた。
「皆さんは、仙台支部が結成してから三十年近く、全力で走り抜いてこられた。この二、三日は、ゆったりした気分で過ごしてください。
そして、また新しい心で、新しい未来へ出発しよう。では、皆で記念の写真を撮りましょう」
笑顔が広がるなか、カメラに納まった。
仙台支部の結成は、戸田城聖が第二代会長に就任した一九五一年(昭和二十六年)の五月であり、以来二十七周年を迎えた。
その間、旧習の根深い地にあって、さまざまな偏見や迫害と戦いながら、広宣流布の道を切り開いてきた同志を、伸一は、心からねぎらいたかったのである。
彼自身は休む間もなく、記念植樹に臨んだ。植えられたのは、二本の桜であった。
一本は、「広布の母」である婦人部に敬意を表し、もう一本は、東北学生部の発展に尽力した功労の友の遺徳を讃えての植樹である。
婦人部の桜に土を盛った伸一は、東北婦人部長の斉間恵と、東北書記長で宮城県婦人部長の野崎裕美に視線を注ぎながら言った。
「この桜は、婦人部の皆さんの手で、大木に育ててください。
桜も、人材も、立派に育てるには、常に心を配り、よく手入れしていかなければならない。
この木を、東北婦人部の人材育成の象徴にしていってください。
東北婦人部には、斉間さんと野崎さんという、息の合った最強のコンビが誕生した。
中心となる人たちが、力を合わせていくことができれば、大発展します。
団結は『建設』であり、『善』なんです。
しかし、反目は『破壊』であり、『悪』となってしまう。
組織を実質的に担っているのは、結局は婦人部の皆さんです。
婦人部が強ければ、広宣流布の盤石な基盤を築くことができます」