求道25  2014年7月12日

山本伸一は、男子部の合唱団一人ひとりに、じっと視線を注ぎ、言葉をついだ。
「正式名称は『宮城無名合唱団』でどうだろうか。
諸君が社会で実証を示し、信頼を勝ち取って、偉くなり、有名になっていくことも大事です。しかし、それ自体が目的ではない。
根本目的は、どこまでも広宣流布です。この世から不幸をなくし、三
世永遠にわたる、自他共の崩れざる幸福を築いていくことです。
それには、「名声がなんだ! 社会的な地位や名誉がなんだ!民衆を守るために、一個の人間として、泥まみれになって働き抜くぞ!」という気概がなくてはならない。
正義を貫くならば、時に王冠も〓奪され、汚名を着せられることもあります。ゆえなき罪を被せられるかもしれない。
しかし、それでも、決して信念を曲げることなく、無名の王者として胸を張り、堂々と勝ち進んでいってほしいんです。それが、真の勇者です」
続いて、女子部の代表が、伸一に言った。
「先生。宮城県鼓笛祭の開催をご提案くださり、ありがとうございました!」
伸一は、「女子部が希望に燃えて前進していけるように、県鼓笛祭を行ってはどうか」と提案し、それが、前日夜の東北最高会議で決定をみたのである。
県単位の鼓笛祭は、全国に先駆けての開催となる。
「日本で最初となる県の鼓笛祭です。日本中、世界中が注目しています。
皆が『参加してよかった! こんなにも成長することができた』と喜び合える、大成功の鼓笛祭にしてください。
そして、青年が東北広布の推進力となり、先頭に立って道を開いていくんで
す」
伸一は、青年たちが、希望にあふれて前進できるように、さまざまな角度から、心を砕き続けていたのである。
青年が、活力にあふれているところには、金色燦然たる未来が広がる。
中国の文豪・巴金は記している。
「未来は若者のものであり、青年は人類の希望であり、わが祖国の希望でもある」(注)