小説「新・人間革命」広宣譜16 2014年 12月5日

山本伸一の満腔の期待が込められたあいさつに、万雷の拍手が沸き起こり、いつまでも、いつまでも鳴りやまなかった。
ここで、合唱団による「広布に走れ」の合唱となった。
力強く、さわやかなコーラスが会場にこだました。それは、平和の長征へと旅立つ英知の友への讃歌であった。
合唱が終わると、伸一は言った。
「上手だね。もう一回!」
再び歌声が響いた。そして、さらに、アンコールの拍手が鳴り続いた。
「では、もう一度だね」
合唱は、何度も続けられた。
「最後に、参加者全員で大合唱しよう!」
伸一が、こう提案した時、場内にいた一人の青年が叫んだ。
「先生! みんなでスクラムを組んで歌っては、どうでしょうか!」
すかさず、伸一が皆に諮った。
「みんな、どう? スクラムを組んで歌うのも、学生らしくていいんじゃない」
賛同の拍手が起こった。
「それじゃあ、今、発言したあなたが、歌の指揮を執ってください」
  
  広き曠野に 我等は立てり
  万里めざして 白馬も堂々……
  
若人の情熱のスクラムが、大波のように、右に左に揺れた。それは、滔々たる新時代の潮流を思わせた。
伸一は、皆の顔を眼に焼きつけるように視線を注ぎ、身を乗り出して、盛んに手拍子を打った。
学生たちは、誓った。
使命の曠野に、敢然と挑み立つことを! 世紀の勇者となって、新時代の舞台に躍り出ることを! 革新の英知光る、慈悲と哲理の学徒となることを! 正義の対話を展開し、恒久平和の人類史を創造しゆくことを!
新しき歌は、新しき世代を鼓舞し、新しき時代を開く力となるのだ。