小説「新・人間革命」広宣譜17 2014年 12月6日

 さあ、歌おう!
 紅燃ゆる?わが魂の歌?を!
 高らかに、?歓びの歌?を!
 誇らかに、?正義の凱歌?を!
 晴れやかに、?民衆の讃歌?を!
  
草創期以来、創価の同志の痛快なる人間ドラマは、常に歌とともにあった。広宣流布の伸展も、庶民の朗らかな歌声がこだまするにつれて、勢いを増していった。
歌は、闇夜を破る勇気の雷となる。そして、荘厳なる旭日をわが胸中に昇らせゆく、希望のファンファーレとなる。
山本伸一が作詞作曲した、学生部歌「広布に走れ」は、学生部のみならず、瞬く間に日本中の友に愛唱されていった。
発表翌日の七月一日に行われた、東海道本部長会で、東京支部長会で、大分県総会で、婦人部の人材育成グループの集いで、全国各地で、はつらつと歌い上げられたのである。
伸一は、「広布に走れ」に引き続いて、直ちに新しい男子部歌の作詞作曲に着手した。
男子部は、この七月を、「結成二十七周年記念月間」として、「跳べ! 広布丈夫の勇者」をテーマに掲げ、県総会などを企画していた。伸一は、その男子部にも、新しい飛躍の歌を贈りたいと思ったのである。
このころ、時代の急速な変化のなかで、自己を確立することができず、社会に対して積極的に関わろうとしない若者たちが増加しつつあることを、伸一は憂慮していた。
大人になりきれず、無気力、無関心、無責任などに陥る「モラトリアム化」現象が、次第に青年層全般に広がりつつあった。
その解決のためには、自分という存在の根本的意味を知らねばならない。法華経には、その明快な解答が示されている。
それは、皆が本来、この世から不幸をなくし、万人の幸福と平和を築くために、こいねがって妙法流布の使命を担い、悪世末法に出現した地涌の菩薩であるということだ。