小説「新・人間革命」広宣譜21 2014年 12月11日

山本伸一は、二十一世紀を見つめていた。
日本人の平均寿命は、年々延びている。それにともない、学会員の男性の場合、男子部よりも、壮年部として活動する期間がますます長くなっていく。
やがては、壮年部歴四十年、五十年という時代も来るにちがいない。
つまり、人生の半分以上を壮年部員として活動することになるのだ。
そして、そのなかで、定年後は、多くの人たちにとって、地域が一切の活動の舞台となる。
伸一は、壮年部が地域に積極的に関わり、活躍する時こそ、地域広布の総仕上げの時代であると考えていた。
学会にあっては、草創の時代から、地域での活動の推進力は、主に婦人であった。家事や育児などに追われながら、学会活動に励むとともに、隣近所のために心を尽くし、交流を重ね、地域に信頼の基盤を広げてきた。
しかし、二十一世紀には、いよいよ壮年部が、本格的に地域へ躍り出る時代が到来するのだ。
壮年の力で、学会の盤石な組織を築き上げ、さらに、地域社会のかかえるさまざまな問題の解決にも真っ向から取り組み、わが地域に人間共和の城を築き上げていくのだ。
かつては、定年後の生活を「余生」ととらえる人が多かった。
しかし、これからは、長年培ってきた力をもって、地域に、希望を、活力を与える「与生」であらねばならない。
仏法即社会であり、地域広布即地域貢献である。
一人ひとりが、地域のため、人びとのために、何ができるかを考え、果敢に貢献の行動を起こしていくなかに、幸せの拡大があり、広宣流布の建設もあるのだ。
日蓮大聖人は仰せである。
「一切衆生の異の苦を受くるは悉く是れ日蓮一人の苦なるべし」(御書七五八p)
人びとが苦しむ問題があれば、それをわが苦ととらえ、その解決のために奮闘していくのが、仏法者の生き方といえる。
壮年が、その使命を自覚し、地域建設の中核となり、推進力となっていってこそ、わが地域の建設も、繁栄も、勝利もある。