小説「新・人間革命」広宣譜42 2015年1月10日

岡山文化会館に到着するや、「中国の歌」の作詞に取り組んだ山本伸一は、引き続き恩師記念室で「九州の歌」の推敲に入った。
熟慮を重ね、何カ所か手直しをして完成となった。
午後五時半から、二階の和室で岡山県の幹部らと懇談会を行い、さらに別室に移り、九州幹部との協議会に出席した。
伸一は、集った五十人ほどのメンバーに視線を注いだ。峻厳な雰囲気が漂っていた。
「正式には、二十二日の本部幹部会で発表しますが、九州の人事について、皆さんには事前に申し上げておきます。
これは、九州が脱皮し、大きく発展していくための中核の人事であり、未来への布石です。
九州には無限の底力がある。その力が、いかんなく発揮されれば、二十一世紀には〝創価の大勝利山〟となる。大九州の時代が来ます」
人事では、新たに吉原力が九州総合長に就任し、方面婦人部長、方面青年部長等も交代することになった。
「吉原君は、東京生まれの東京育ちで、これまで、第二東京本部の副本部長、多摩川圏の圏長として活躍してきました。
また、仕事では聖教新聞社の業務局長を務め、職場の柱として皆から慕われています。
彼は毎日、早朝も昼休みも、無事故で聖教新聞が配達されるように、寸暇を惜しんで真剣に唱題している。
何事にも一途であり、体当たりでぶつかる、真面目なリーダーです。
東京では、『吉原君を手放したくない』と言うんですが、大九州のために、やむを得ず彼を抜擢したんです。
今、九州に必要なのは、地を這うようにして、地道に、懸命に、会員の皆さんのなかに分け入って活動するリーダーです。
スタンドプレーヤーではありません。
幹部は、自分が喝采を浴びることより、ひたすら同志を守り励ますことを考え、黙々と働くんです」
リーダーは、団結の要である。そして、団結は、リーダーへの、あの人は、私たちのことを、ここまで思ってくれているのかという、信頼と共感のうえに成り立つのだ。