小説「新・人間革命」広宣譜54 2015年1月24日

鳥取の同志は、米子文化会館に次々と詰めかけ、勤行会の会場となる大広間は、瞬く間にいっぱいになっていった。
子ども連れの婦人や、お年寄りも多かった。大広間以外の部屋も、人で埋まっていく。
勤行会は、とても一度では終わりそうになかった。
山本伸一は、毅然として言った。
「皆さんが来られる限り、勤行会は、何度でも行います!」
午前十時半、一回目の鳥取支部結成十八周年記念勤行会が開催された。
伸一は鳥取広宣流布と、全同志の一家の繁栄と幸せを祈念したあと、懇談的に話し始めた。
「皆さんも、よくご存じのことと思いますが、日寛上人は『この本尊を信じて南無妙法蓮華経と唱うれば、則ち祈りとして叶わざるなく、罪として滅せざるなく、福として来らざるなく、理として顕れざるなきなり』(注)と仰せです。
御本尊の、この偉大なる功力に、万人が平等に浴することができる。
しかし、それには、『勇気ある信心』が必要なんです。
勤行をするにせよ、仏法対話をするにせよ、何かをなそうとするならば、常に勇気が求められます。
日蓮大聖人の仰せのままに、正しい信心を貫こうとすれば、魔が競い起こり、当然、意地悪もされます。弾圧もあります。
ゆえに大聖人は、『日蓮が弟子等は臆病にては叶うべからず』(御書一二八二p)と厳しく指導されているんです。
また、この信心を貫き、必ず幸せになってみせるという『確信ある祈り』が大事です。
仏法対話も確信で決まります。確信という魂があってこそ、理論も、体験も、より説得力をもつんです。
「勇気」と「確信」で、わが人生を開き、広布を開き、すべてを勝ち越えていってください」
伸一は、勤行会が終わるや、大広間に入りきれなかった人たちが待機している別室へ向かった。
力の限り、同志を励まし抜く──その繰り返しのなかから、広宣流布の大波が起こる。