小説「新・人間革命」広宣譜55 2015年1月26日

山本伸一は、勤行会参加者が集っている各部屋を回り、全力で、皆を励ましていった。
「ご苦労様です。お会いできて嬉しい。
皆さんのなかには、お寺に行くたびに理不尽な文句を言われ、悔しく、辛い思いをされている方もいらっしゃるでしょう。
何を言われようが、日蓮大聖人の仰せのままに広宣流布を推進している仏意仏勅の団体は、創価学会しかありません。
学会の実践のなかに、地涌の菩薩の実像があり、崩れることのない幸福境涯を確立する直道があります。
どうか、生涯、学会から離れず、地涌の使命に生き抜き、幸せになってください。皆さんとは、なかなかお会いできませんが、ご一家の繁栄と幸せを、日々、祈っております」
集った人たちの、ほぼ全員が初めて伸一と会う人たちであった。
彼は懸命に訴えた。
「皆さんが、私に代わり、ブロックの方々を守ってください。
皆さんは、地域の創価学会の代表者、責任者であり、会長です。
学会は、皆が、その思いで立ち上がり、その心で結ばれているから強いんです。
信心の世界には、本質的には、役職の上下も、権威も権力もありません。
皆が同じ仏子です。皆が地涌の菩薩です。皆が同志です。皆が創価家族です。私たちの手で、鳥取に幸せの花園をつくろうではありませんか!」
大拍手が響いた。目に涙を浮かべ、「頑張ります!」と叫ぶ人もいた。
正午過ぎから、二回目の勤行会が行われた。
伸一は、参加者に視線を注ぎながら語った。
「このなかには、ご高齢のため、自宅でお孫さんの面倒をみて、留守を預かってくださっている方もいらっしゃるでしょう。
家に柱や屋根、土台があり、それぞれの役目が異なるように、家族の役割も違います。
しかし、心を合わせて広宣流布を担ってくださっている功徳は平等です。
皆が、広布の、大事な、大事な担い手です。
本日は、その方々に、心から御礼申し上げます。
ここに、わが使命ありと決めて信心に励み、共に幸福の大道を歩み抜きましょう」