小説「新・人間革命」 広宣譜62 2015年 2月3日

四国長の久米川誠太郎が、四国の歌「我等の天地」を録音したカセットテープを差し出すと、山本伸一は笑顔で言った。
「今、ここで聴かせてもらいます」
久米川は、用意していたカセットデッキにテープを入れた。
明るく、力強く、伸びやかなメロディーにのって合唱が流れた。
  
 一、遙かな峰も 我が峰と
   四国の天地は 我が天地
   地涌の我等が 乱舞せる
   故郷嬉しや この山河
  
 二、緑したたる あの山も
   喜び勇んで 我等をば
   包み護らん 鉄囲山
   おお誉れあれ この法戦
  
 三、友よ負けるな 妙法の
   祈りの功徳は 天空に
   四国の民衆に そそがなん
   おお前進だ 鐘は鳴る
  
「いい曲だ。明るくて心強い!」
伸一は、カセットデッキから流れる歌声に合わせて、歌詞を口ずさみ始めた。
曲が終わると、彼は、久米川と、作曲にあたった男子部員に視線を注いだ。
「すばらしい曲だね。ありがとう。この歌を携えて、四国へ行こう!」
久米川たちの顔がほころび、瞳が輝いた。
伸一は、翌二十四日から四国を訪問することになっていたのである。
彼は、力を込めて語った。
「『四国の天地は 我が天地』と、皆が本当に自覚することが大事です。自分が今いる場所が、地涌の菩薩として広宣流布の使命を担った天地なんです。
そこを常寂光土にしていくために自分がいる。東京や大阪を意識する必要はありません。
わが誉れの天地で、自分らしく、広宣流布を進めていこうとの決意に皆が立つ時、新しい四国の時代が来る!」