小説「新・人間革命」広宣譜65 2015年 2月6日

二、君も負けるな いつの日か
   共々誓いし この道を
   嵐も吹雪も いざや征け
   これぞメロスの 誉れなり
   ああ万感の 時待たんと
  
友との広宣流布の誓い──それは、自分自身に誓うことでもあり、わが使命に一人立つことから始まる。
仮に、友が道半ばに倒れたり、誓いを捨て去ったりすることがあったとしても、自分は、ひとたび決めた信念の道を走り通していくことだ。
たとえば、メロスは、もしも、セリヌンティウスが自分に不信をいだき、刑場で恨み言を発し続けていたとしても、彼を救うために走り続けたはずだ。
セリヌンティウスも、メロスが戻るのをやめて逃げ出したとしても、「きっとメロスは、王にどこかで殺された」と考え、友に喝采を送ったにちがいない。
相手が信義を守るから自分も守るというのではない。自らの信念としての行動である。
作者の太宰治は、メロスは「わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った」と記している。「大きな力」とは、人間の普遍の信実であり、不変の正義といえよう。
友との誓いを契機として、決然と一人立ち、わが信念に生き抜く。
互いにそうした時に、最も美しい友情のドラマが花開くのである。
伸一は、引き続き三番の作詞に入った。最後の言葉は既に決まっていた。
それは、「ああ柱たれ 我等の時代の」である。
皆が自分の世代の広宣流布に責任をもち、信頼の柱となり、友情を広げていくなかに、仏法の人間主義の着実な広がりがある。
三番では、「常に、地涌の使命を忘れないでくれたまえ」との、魂の叫びを歌にした。
  
 三、この世の誇りと 使命をば
   紅燃ゆる 君もまた
   七つの鐘の 走者なり
   花の輪広げん 走者なり
   ああ柱たれ 我等の時代の