小説「新・人間革命」 広宣譜66 2015年 2月7日

山本伸一は、浴衣に着替え、新高等部歌の歌詞を書いた紙を持って、岡山文化会館の屋上へ向かった。
岡山未来会の第一期生と、会うことになっていたのである。
屋上に出た伸一は、高等部長の奥田義雄と、女子高等部長の大崎美代子に言った。
「できたよ! 新しい高等部歌の歌詞を作ったよ。今、完成したばかりだ」
そして、歌詞が書かれた紙を手渡した。
「ありがとうございます!」
二人の顔が輝き、満面に笑みが浮かんだ。
空は、美しい夕焼けに包まれていた。
未来会のメンバーは、用意してあった縁台や椅子などに、伸一を囲むように座った。
彼は、一人ひとりを見すえながら語り始めた。厳しい口調であった。
「皆さんは、未来会として広布後継の誓いを固めて集われた。学会の未来は、皆さんの双肩にかかっています。
だから、あえて厳しく言っておきます。
生涯、誓いを破ってはいけない。甘えてはいけない。
艱難を自ら求め、乗り越えていく『正義の人』になれ──これを守れる人は?」
皆が手を挙げた。
「ありがとう。私は、君たちを信じます。
そして、これから、どのように成長していくのか、見続けていきます。
次の学会を頼むよ! 君たちは私の宝だ」
空は刻々と表情を変え、紫紺に染まり、宵の明星が瞬き始めた。
鳳雛たちの瞳は決意に燃え、頬は紅潮してた。
懇談終了後、伸一は、「短時間でも、敬愛する男子部の諸君を励ましたい」と、ポロシャツに着替え直し、会館内で行われていた県男子部総会に出席した。
会場に姿を現した彼を、参加者は、喜びの大拍手で迎えた。
伸一は、皆の大成長を祈りつつ、「同志の誓いを永遠に忘れることなく、限りなき広布のロマンの大道を」と呼びかけた。
さらに、そのあと、男子部の大ブロック長(後の地区リーダー)宅を家庭訪問したのである。
命を削って動いてこそ、人は魂を動かす。