小説「新・人間革命」大道 2 2015年2月12日

山本伸一たちの乗った高速船「キングロマンス」号は、午後二時過ぎに、四国研修道場前の桟橋に接岸された。
夏の太陽が、ギラギラと照りつけ、気温は三四度を超えていた。
「先生! ようこそ!」
酷暑のなか、香川の同志が、汗にまみれながらも、満面の笑みで迎えてくれた。
「暑いなか、本当にご苦労様です。記念に写真を撮りましょう」
到着するや、伸一のメンバーへの激励が始まった。
引き続き研修道場内を視察し、館内で、路上で、また、海岸で、会う人ごとに声をかけては、ねぎらいと励ましを重ねた。
居合わせた青年たちの思い出になればと、一緒に海に入り、泳ぎもした。
この日は、岡山から、研修会参加者が集って来ていた。
午後六時過ぎ、瀬戸の空が、真っ赤な夕焼けに染まり始めたころ、研修道場の庭で野外研修が始まった。
特設された舞台の後ろには、「歓迎 ようこそ四国研修道場へ!」の文字が躍っていた。
野外研修では、地元・香川の各部合唱団が、岡山の同志を歓迎しようと、新学会歌「友よ起て」「星は光りて」「人生の旅」を披露。
さらに、香川の婦人部有志の琴演奏や、徳島の友による「阿波踊り」のあと、新中国の歌「地涌の讃歌」を合唱。そして、新四国の歌「我等の天地」が発表されたのである。
   
■<歌印>遙かな峰も 我が峰と
  四国の天地は 我が天地……
   
歌声は、夕焼け空に広がっていく。皆、愛する郷土建設への熱き思いを託し、声を限りに歌った。
二度、三度と繰り返された。
伸一は、二番の「喜び勇んで 我等をば 包み護らん 鉄囲山」の箇所が歌われるたびに、心に深く誓うのであった。
「私は、鉄囲山となって、四国の同志を、地涌の仏子を守り抜く! 負けるな、四国の同志よ! 断じて勝つのだ!」