小説「新・人間革命」大道14 2015年 2月26日

仏法で説く因果の理法は、大宇宙を貫く生命の根本法則であり、誰人も、そこから逃れることはできない。
しかし、ともすれば目先の現象に心を奪われ、それに気づかないところに、人間の不幸の要因がある。
山本伸一は、草創期の先輩たちの姿を通して、話を進めていった。
「因果の理法に照らして、信心に従順か、違背かの結末は、まことに厳しい。われわれ凡夫には測りがたいものですが、二十年、三十年たってみれば、その差は歴然です。
真面目に、黙々と信心を貫いてきた人は、途中で大変な事態に遭遇したとしても、見事に乗り越え、幸福に満ち満ちた境涯を確立しています。」ゆえに、信心の世界にあっては、要領主義に走ったりするのではなく、仏法の因果の理法を確信して、どこまでも一途に、誠実に、生き抜いてください」
そして、信心とは何かに言及していった。
「信心の基本は、『信行学』です。『信』は、御本尊を信じること。『行』は、自行化他であり、唱題とともに、弘教の実践、広宣流布への行動が含まれます。
『学』は、教学です。したがって、御本尊を信じ、題目を唱え、教学を勉強しているだけでは本当の信心ではありません。
広宣流布のための活動があってこそ、真の信心が完結するんです。
「この人に立ち上がってもらいたい」と指導に足を運ぶ。「あの人に幸せになってほしい」と弘教に歩く。
「地域の広宣流布をしよう」と対話を重ねる。その利他の実践に至ってこそ、真実の仏法なんです。
私生活でも、さまざまな苦悩をかかえているうえに、広宣流布の行動を起こせば、さらに悩みを背負うことになる。辛いと感じることも、苦しいと感じることもあるでしょう。
仏法では、娑婆世界とは堪忍の世界と教えている。耐え忍んで、強く生き抜かなくてはならない。
その生命力の源泉が唱題です。悲しい時も、苦しい時も、嬉しい時も、楽しい時も題目です。
題目こそが、煩悩を菩提へ、苦を楽へと、生命を回転させる力なんです」