小説「新・人間革命」大道 20 2015年3月5日

 
七月二十七日夜、中部文化会館での記念幹部会には、中部の支部長・婦人部長らが、中部の歌「この道の歌」の発表に胸を躍らせ、頬を紅潮させながら喜々として集って来た。
場内前方には、赤、ピンク、黄などの、色とりどりのグラジオラスの花が飾られ、晴れの幹部会に彩りを添えていた。
午後六時半、開会が宣言され、山本伸一の導師で厳粛に勤行が行われた。
伸一は祈った。懸命に祈った。
「堅塁中部は、広宣流布を破壊せんとする迫害や陰謀に屈することなく、堂々と、日蓮大聖人の仰せ通りに生き抜いてほしい。創価の正義の旗を掲げ抜いてほしい」と。
最初にあいさつに立った中部長の大田和介は、感無量の面持ちで、「中部の日」の淵源について話し始めた。
「思い起こせば、二年前の七月二十七日、わが中部は、会長・山本先生から中部旗を授与されました。
それは、私どもの胸中に、堅塁の不屈なる決意の旗が翻った瞬間でありました。
満場を揺るがす大拍手が轟くなか、込み上げる感涙をこらえた、あの日
の感動は、生涯、忘れることはありません。
そして、私たちは、この日を『中部の日』とさせていただき、信心蘇生の原点の日として、毎年、新たな思いで出発していくことを誓い合ってきたのであります」
記念日を荘厳するものは、誓いと行動だ。
大田は、感激のため、幾分、声を上ずらせながら、叫ぶように訴えた。
「私たちは、山本先生から授与された、正義と勇気の旗である中部旗を抱き締めて、仲良く団結し、上げ潮に次ぐ上げ潮の前進を続けてまいりました。
そして、さらに本日、待望の中部の歌『この道の歌』を発表していただけることになったのであります。
この歌とともに、私どもは新しき希望の前進を、力強く開始していこう
ではありませんか!」
賛同の大拍手が炸裂した。皆が同じ思いであった。場内は、歓喜に沸騰した。