小説「新・人間革命」大道 21 2015年3月6日

中部長の大田和介の話を受けて、中部本部長の田山豊隆が登壇し、「中部の歌」制作の経過を語っていった。
「先生のお話を受けて、私たちは原案を作り、手直ししていただこうと、歌詞を提出いたしました。
しかし、その歌の完成度は極めて低く、ことごとく先生の手を煩わせてしまう結果になってしまいました。
原案で残っているところといえば、実は『中部』と『この道』ぐらいで、ほとんど跡形もなくなってしまったのであります」
会場に爆笑が渦巻いた。すかさず山本伸一の声が飛んだ。
「そりゃあ、中部の歌ですから、『中部』までなくすわけにはいかないでしょ。消してしまったら、それこそ大変ですよ。私はもう、中部に来られなくなってしまう。
『この道』が残ったというけれど、まさか『あの道』というわけにはいかないでしょ」
皆、腹を抱えて大笑いした。
学会活動の活力は、悲壮感から発するものではない。歓喜から発するものだ。ゆえに、そこには、生命の躍動がもたらす朗らかな笑いと歌がある。
それは、前進の歯車を、勢いよく回転させる潤滑油となる。
田山は、姿勢を正して、朗々と歌詞を読み上げた。壇上には、その歌が大書されていた。
  
 一、ああ我等我等の 決めた道
   この道歩まん 朗らかに
   不退の君と 悔いあらじ 悔いあらじ
   ああ中部中部 和楽あれ
  
 二、ああ走れ語れよ この道で
   苦難の彼方に 瑠璃の城
   これぞ本陣 護れ君 護れ君
   ああ中部中部 歓喜あれ
   
 三、ああ朝な夕なに この道を
   口笛涼しく 友どちと
   夜空にはずむ 語りべは 語りべは
   ああ中部中部 諸天舞う