小説「新・人間革命」 革心45 2015年 6月22日
彼は、中日友好協会の会長となる廖承志の父親である。
鄧穎超は、廖仲愷の夫人・何香凝を支え続け、夫人が推進してきた女性解放運動を大きく発展させていった。
当時の中国には、南の広州に国民政府があり、北の北京に軍閥の政府があった。国民革命軍は北伐を開始した。
彼女は、母の楊振徳と共に変装して広州を脱出し、周恩来が身を潜めている上海へ向かった。
ようやく一命を取り留めて上海に戻るが、夫妻は、五年間にわたって地下活動を展開しなければならなかった。
その間、多くの同志が殺されていった。裏切りにもあった。それでも、二人は、闘争を続けた。
苦渋の忍耐の日々にあっても、一歩も引かず、赤々と闘魂を燃やし続ける人こそが勝利者であり、そこに、目的の成就もある。
■主な参考文献
『人民の母――鄧穎超』高橋強・水上弘子・周恩来 鄧穎超研究会編著、白帝社
ハン・スーイン著『長兄――周恩来の生涯』川口洋・美樹子訳、新潮社