小説「新・人間革命」 革心64 2015年 7月15日

答礼宴のあいさつで、山本伸一は、関係者の厚情に包まれ、実り多き九日間を送れたことに謝意を表し、話を続けた。
「今回、私どもは、多くの人民の生き生きとした姿のなかに、『四つの現代化』へのたくましい前進と、それが見事に結実していく様子を見ることができました。
また、北京大学復旦大学、上海の少年宮を訪れ、未来の世代が、すくすくと成長している様子も拝見することができました。
日本に帰りましたら、こうした心に映じたすべての事柄を、できる限り、多くの人びとに伝えてまいります。
そして、日中間の『金剛の道』『金の橋』を、人民と人民の友情と連携を、地道に、着実に、強く積み重ねて構築していきたいと思っております。
日中友好の『第二章』ともいうべき新しき歴史を、信義と友誼を貫き通して、ともどもに綴っていきたいと念願する次第です。
洋々たる未来へ、友好の手と手を携え、晴れ晴れと前進しようではありませんか」
伸一は、最後に、列席者のますますの健康を祈念し、乾杯を提唱した。
続いて、中日友好協会の廖承志会長があいさつに立った。
彼は、伸一への感謝の思いを語ったあと、中日両国に平和友好条約は結ばれたが、真の友好関係の発展は、これからであると強調。
両国の友好と友情が、年ごとに発展することを願っていると述べ、訪中団の帰路の安全を祈り、話を結んだ。
平和友好の道もまた「長征」である。風雨の吹き荒れる時も、未来に向かって、信義の歩みを運び続けてこそ、栄光の踏破がある。
食事が始まると、鄧穎超は言った。
「食事がとてもおいしいですね。人民大会堂では、いつも同じ物が多いので、別の料理も食べたいと思っていたところなんですよ。願いが通じました。
山本先生に感謝いたします。特に、今日のメニューは、西太后の晩年の食事を真似たもので、おばあさんに食べやすいように、柔らかく調理されています。私に、ぴったりの食事ですよ」
飾らず、ユーモアあふれる言葉であった。