小説「新・人間革命」 勝利島5 2015年 7月25日

広宣流布を推進するリーダーにとって大事なことは、自分の担当した組織のすべてのメンバーに、必ず幸せになってもらおうという強き一念をもつことだ。
そして、人間対人間として、誠実に交流を図り、深い信頼関係を結んでいくことである。
その素地があってこそ、励ましも、指導も、強く胸を打ち、共鳴の調べを奏でることができるといえよう。
それは、学会員に対してだけでなく、すべての人間関係についても同様である。
日ごろからの交流があってこそ、信頼も芽生え、胸襟を開いた対話もできる。
リーダーが麗しい人間関係をつくり上げることに最大の努力を払っていくならば、広宣流布は、着実に、ますます大きな広がりを見せていくにちがいない。
また、一人の人が立ち上がり、真剣に信心に励むようになっていった陰には、必ず、真心の励ましを重ね、面倒をみてくれた学会の先輩や同志がいる。
「あの人が一生懸命に励ましてくれたからこそ、今日の私がある」「あの人の人柄に共感して、信心してみようと思った」といった声は、どの組織にあっても枚挙にいとまがない。
本来、創価学会の人間の絆ほど、尊く美しいものはない。
病に苦しんだり、仕事で行き詰まったりしているメンバーがいれば、励ましの言葉をかけ、相談にものり、克服を願って懸命に祈る。
そこには、互いの幸せを願う思いやりがあり、同苦の心がある。
しかも、学会員の人への真心は、会員だけに限らず、近隣の人びとや友人など、自分を取り巻く多くの人びとに向けられている。
まさに、創価の友によって結ばれた人間の連帯は、かけがえのない社会の宝になりつつあるといってよい。
それだけに山本伸一は、幹部との人間関係で活動から遠ざかってしまったという話を聞くたびに、激しく胸が痛んだ。
ゆえに彼は、リーダーの在り方について、さまざまな角度から、指導し続けたのである。