小説「新・人間革命」 勝利島 8 2015年 7月29日

高見福安の言葉は、語るにつれて熱を帯びていった。
「私は今、自分の姿勢を振り返って、深く反省しています。
求道心を失い、先生に甘えていたことに気づき、申し訳ない思いでいっぱいなんです」
集っていた沖縄の首脳幹部たちは、高見に視線を注ぎながら、大きく頷いた。
沖縄の婦人部長の上間球子が口を開いた。
「確かに、その通りですね。私たちの方から、お伺いすべきだと思います。
せめて代表だけでも、学会本部に集わせていただくように、お願いしてみてはどうでしょうか。
もちろん、本部に行ったからといって、山本先生のお忙しさを考えると、お会いしていただけるとは限りません。
でも、最も大切なことは、師匠を求め抜こうとする心ではないでしょうか。
その一念があってこそ、先生のお心もわかり、あらゆるものを吸収していくことができるのだと思います」
高見は、「そうだ。そうだね」と繰り返しながら、心に誓っていた。
御書には、「法華経の法門をきくにつけて・なをなを信心をはげ(励)むを・まこと(真)の道心者とは申すなり」(一五〇五ページ)と仰せだ。
山本先生は何度となく沖縄に足を運び、命を削って指導してくださった。
しかし、私たちは、ますます信心に励み、求道心を燃やすのではなく、ただ、先生のお出でを待つだけの信心になってしまっていた。
この惰性的な生き方を、ぶち破るんだ!
彼は、ひときわ大きな声で言った。
「本部に集わせていただきましょう! そして、沖縄の新しい出発をしましょう!」
皆の目が光った。
高見は、学会本部と連絡を取り、十月七日、離島本部総会の前に、広布第二章の支部長・婦人部長、男女青年部の代表による第一回「沖縄支部長会」の開催が決まったのだ。
山本伸一からも、「無理はなさらないように。皆さんとお会いできることを、心から楽しみにしています」との伝言が届いた。