小説「新・人間革命」 勝利島 9 2015年 7月30日

離島本部総会に参加する沖縄の同志は、那覇に集まり、「沖縄支部長会」の参加者と合流し、朝、飛行機で東京へ向かった。
メンバーのなかには、船で石垣島宮古島に出て、そこから飛行機で那覇まで来て、一泊した人もいた。
沖縄の同志は、羽田空港から五台のバスに分乗し、正午過ぎ、学会本部に到着した。
ボストンバッグを手にしたメンバーが、学会本部の門を入ると、副会長の青田進や山道尚弥をはじめ、多くの幹部が左右に並び、大拍手で一行を歓迎した。
「こんにちは! お疲れさまです!」
その励ましの言葉に、疲れは吹き飛んだ。
沖縄支部長会は、学会本部の師弟会館で開催された。
皆、創価学会常住の「大法弘通慈折広宣流布大願成就」の御本尊に、沖縄広布を誓い、厳粛に祈りを捧げた。
婦人部長の藤矢弓枝、副会長の関久男・秋月英介があいさつに立ち、遠路、学会本部までやって来た労をねぎらい、沖縄の新しい出発を祝福した。
そのころ山本伸一は、六月にオープンした信濃町創価婦人会館(後の信濃文化会館)にいた。
支部長会終了後、沖縄の同志をここに招いて、一緒に記念撮影をしようと、一足先に来て、待っていたのである。
メンバーは、支部長会を終えると、担当の幹部から、創価婦人会館に移動するように言われた。
本部から徒歩二、三分のところにある、茶系のタイル壁に緑の屋根瓦の瀟洒な二階建てが、その建物であった。
館内に入ると、伸一が満面に笑みを浮かべて、姿を現した。
「遠いところ、ようこそいらっしゃいました! お待ちしていました。
皆さんは、沖縄の平和のために、広宣流布に立ち上がり、苦労し、苦労し抜いて、戦ってこられた。
大使命をもった地涌の菩薩であり、広布の大功労者です。
私は、仏を敬う思いで、迎えさせていただきます。
それが、人間として、仏法者として当然の道です」