小説「新・人間革命」 勝利島 51 2015年9月19日

奄美の同志は、さまざまな圧迫に押しつぶされそうになりながらも、自らを鼓舞し、人びとの幸福と島の繁栄を願って広宣流布に生き抜いてきた。
山本伸一は、その姿に仏を見る思いがしていた。
その生き方のなかにこそ、現代における不軽菩薩の実践もあると、彼は強く確信していた。
奄美からは、有志で制作したという「奄美広布の歌」のカセットテープと譜面も届けられていた。
すぐに歌を聴いた。
久遠の誓いを胸に、島の広布に生きる力強さがみなぎる歌であった。
伸一の脳裏には、奄美の人びとの歓喜の笑みが、決意に燃える瞳が、精悍な顔が浮かんだ。
また、奄美群島の徳之島では、「奄美の日」記念行事の一環として、創価学会青年部主催の文化祭が盛大に開催され、地域に大きな反響を広げたとの報告も届いていた。
伸一は、すぐにペンを執った。
奄美の日、おめでとうございます。
皆さんの『奄美広布決議』を拝見しました。
二十日には徳之島での文化祭も見事な成果を収めたとのこと。
はつらつとした皆さんの躍動の姿を嬉しく思います。
決議文は御本尊様にお供えしました。それに対する私の気持ちを申し上げます。
『ああ 雄々しき哉 奄美創価学会の友
 ああ 逞しき哉 奄美共戦の地涌の友
 ああ 奄美の同志の決議を 宝前に捧げ
 我もまた 君らと共に
 君らを守りながら 戦うを誓う』
大切な、かわいい奄美のお友達のご健康と幸せを心から祈念して、私のメッセージといたします」
彼は、同志の決意を大切にしていた。「意を決める」ことから、行動が生まれ、努力が生まれ、忍耐が生まれ、勝利が生まれる。
決意は、大願成就への種子であるからだ。
ゆえに彼は、皆の決意には、最大の真心と誠実をもって応えていったのである。
師弟共戦がもたらす歓喜の発光は、広宣流布を阻む、いかなる暗雲をも打ち破る。