小説「新・人間革命」 常楽1 2016年 1月1日

さあ、朗らかに対話をしよう!
 胸に歓喜の太陽をいだいて。
 語り合うことから、
 心の扉は開かれ、
 互いの理解が生まれ、
 友情のスクラムが広がる。
   
 対話とは――
 心に虚栄の甲冑を纏って、
 空疎な美辞麗句を、
 投げかけることではない。
 赤裸々な人間として、
 誠実と信念と忍耐をもってする、
 人格の触発だ。
  
 仏教の智者の言には、
 「声仏事を為す」(御書四〇〇ページ)と。
 諸経の王「法華経」は、
 仏陀と弟子たちとの対話である。
 日蓮大聖人の「立正安国論」も、
 主人と客との対話として認められた。
 
 対話は――
 励ましの力となる。
 希望の光となる。
 勇気の泉となる。
 生命蘇生の新風となる。
  
 さあ、はつらつと対話をしよう!
 心と心に橋を架けよう!
 その地道な架橋作業の彼方、
 人も、世界も一つに結ばれ、
 人間勝利の絢爛たる平和絵巻は広がる。
  
一九七八年(昭和五十三年)十月十日の午後、山本伸一は妻の峯子と共に、アメリカの経済学者で、『不確実性の時代』などの著者として知られる、ハーバード大学名誉教授のジョン・K・ガルブレイスとキャサリン夫人の一行を聖教新聞社に迎えた。
人間のための“確実性の道”を開きたいとの思いで、伸一は会談に臨んだ。