【第2回】 幸福は友のために生きる中に  (2016.1.16)

 あすは阪神・淡路大震災から21年。お亡くなりになられた全ての方々を追善し、懇ろに題目を送らせていただいております。
 生命は永遠です。亡き家族も、今を生きる皆様と一体です。笑顔で見守っておられると確信します。
 皆様が、大災害にも屈せず、人間の復興を成し遂げてこられた姿は神々しい。その尊き希望の灯《ひ》は、東北はじめ全世界で災害と闘う人々の胸に明々と受け継がれています。
 深い悲しみも、不屈の心で、崇高な使命に昇華された。まさに仏であり、地涌の菩薩にほかならない。
 自ら誓いを立て、行動するのが菩薩だ。菩薩が発《おこ》す「四弘誓願」の第一で、日蓮大聖人が「肝要」とされたのが「衆生無辺誓願度」である(御書846㌻)。
 すなわち「全ての衆生を生死の苦しみから救済し、成仏に導こう」との誓いに生き抜く。その崇高な誓いのまま、人々の苦悩に真っ正面から取り組み、社会に価値を創造していくのだ。
 ここに最極の生きがいが光る。「人を幸福にする」ことこそが「自分が幸福になる」道だからである。
 この世から「悲惨」の二字をなくしたい。これが戸田先生の願いであられた。
 その師の心をわが心として、60年前、私は「大阪の戦い」に打って出た。
 青年部の友と一緒に勤行する際、こう語り掛けた。
 自分の身近に、悩んでいる人はいないか。父母は、元気か。祖父母は、どうか。近くのおじさんやおばさん、知り合いの中で、悩んでいる人は、いないか──と。
 自分が縁する一人一人のために祈り、尽くし、皆の力を引き出して戦うのだ。
 戸田先生が「対話においては、相手の悩みの中心に触れ、相手が求めるものに応えていくのだ」と教えられた通り、友の苦しみを除き、喜びを分かち合って、世界に希望を創り広げる。これが慈折広宣流布だ。
 真冬の今、木々は春の芽吹きの準備をする。厳寒を越えて、桜梅桃李の劇は始まる。我らも、幸福と勝利の春へ、心も軽く、朗らかに友情の対話を広げよう!