小説「新・人間革命」 力走11 2016年4月5日

物事は、小事が大事である。大事故の多くは、一つ一つの細かい事柄への注意を怠ったことに起因している。
小さな配慮を欠いたことから、皆の信頼を失い、それが組織の停滞を招いた事例も少なくない。
ゆえに、山本伸一は、関東の支部長・婦人部長の新出発にあたって、細かく、口うるさいように感じられるかもしれないが、注意すべき事柄について、訴えていったのである。
「誰にもプライバシーがあります。いかに親しい間柄であっても、プライバシーは最大に尊重していかなければならないし、個人についての情報が漏れるようなことがあってはならない。
幹部には守秘義務がある。それを、順守していくのは当然です。
『わざわい(禍)は口より出でて身をやぶる』(御書一四九二ページ)との御聖訓もある。
幹部の皆さんは、軽はずみな発言などで、支部員を苦しめるようなこと
がないように、聡明な対応をお願いしたい。
さらに、支部員に対して強制的な言動は、厳に慎まなければなりません。
支部幹部の役割は、支部員が安心して信心に励み、人生を歩んでいけるように守っていくことです。
また、大勢のなかには、信心利用、組織利用の人もいるかもしれない。会員を守
るために、それを鋭く見破り、よく注意していくようにお願いしたい。
真の学会員としての道を歩まず、広宣流布のための仏子の集いである学会の組織を攪乱し、社会に迷惑をかけるような人を、看過してはなりません。
なお、これまでに何度も徹底してまいりましたが、会合終了の『八・三〇』は厳守していただきたい。
無理は続かないものです。特に年配者の方々は疲れを残さないように、十分に休養をとっていただきたい。
時間に関連して申し上げれば、連絡、報告の電話は簡潔にして、価値的に時間を使っていただきたい。
また、幹部は、夜遅くまで会員の家にいるようなことをしてはならない。
それぞれの家庭の憩いの時間もあるでしょう。けじめをつけていくこ
とが大切です」