小説「新・人間革命」 清新9 2016年年6月24日

代表幹部会は、ほのぼのとした雰囲気に包まれるなか、山本伸一の指導となった。
彼は、地理的にも、気候的にも厳しい条件のなかで、堅忍不抜の意志をもって、広宣流布に挺身してきた岩手の同志を、心から賛嘆した。
そして、「それぞれの地域にあって御本尊の功徳を受け、人間としての実力を培い、地域に根差した広布の村長さんになっていただきたい」と呼びかけた。
さらに、「月月・日日につよ(強)り給へ」(御書一一九〇ページ)の御文を拝して、着実な広宣流布の前進と信心の向上のために、旺盛な求道心を燃やして、同志と共に仏道修行に励んでいくことの大切さを語った。
「人間を強くするのは人間の激励であり、触発です。励ましがあってこそ、勇気をもてる。ゆえに組織が必要なんです。
広宣流布の前進を阻む壁が、どんなに厚かろうとも、異体同心の団結をもって、堅実な信行学の実践を積み重ね、粘り強い前進をお願いしたい。たとえ、一歩でも半歩でもよい。
執念をもって、前へ、前へ、前へと進んでいってこそ、道を開くことができるんです。
広布の道こそ、宿命転換の道です。幸福と勝利の大道です。何があっても、負けない、挫けない、あきらめないと心に決めて、題目第一で、私と共に進みましょう!」
決意のこもった大拍手が鳴り響いた。
代表幹部会は終わった。しかし、伸一にとっては激闘の開幕であった。彼は、同志への激励の句などを、次々と認めていった。
そこに、「今、三陸のメンバーが、四時間がかりで到着しました」との報告が入った。
車で凍てた雪道を走って北上高地を越えるのに手間取り、代表幹部会には間に合わなかったという。
「すぐにお会いしよう!」
「当起遠迎、当如敬仏」(当に起って遠く迎うべきこと、当に仏を敬うが如くすべし=法華経六七七ページ)──法華経の行者を敬うこの姿勢こそ、戦う同志を、求道の人を迎える、創価の永遠の精神である。