小説「新・人間革命」 清新10 2016年年6月25日

山本伸一は、直ちに、三陸から来た数人のメンバーが待つ一階へと下りていった。
三陸方面でも、同志は、宗門僧による過酷な仕打ちと戦い続けてきたのだ。
「大変ななか、ようこそ、おいでくださいました。ありがとう!」
彼は、一人ひとりと握手を交わした。
皆、口々に「先生!」と言って、頬を紅潮させながら、伸一の手を、ぎゅっと握り締めた。その目には、涙が光っていた。
「皆さんは、これまで、どれほど辛く、苦しい思いをしながら、懸命に戦ってこられたことか。
誰が正義なのか。誰が正しいのか──御本尊は、すべてお見通しです。
大聖人の仰せ通りに、弘教に励んでこられた皆さんが、不幸になるわけがありません。
人生の大勝利者にならないわけがありません。そうでなければ、仏法は嘘になってしまう」
「んだ! んだ!」
皆、瞳を輝かせ、何度も頷いた。
「私たちは、久遠の使命に結ばれた同志です。仏法兄弟です。
どんなに遠く離れていても、心は一緒ですよ。まずは二十一世紀をめざして、明るく、はつらつと、共に前進しようではありませんか!」
「はい!」と決意にあふれた声が響いた。
メンバーの一人が、自分の家族も伸一と会いたがっていたが、代表幹部会の参加対象にはなっていないので、家で題目を唱えていることを告げた。
「そうですか。くれぐれもよろしくお伝えください。また、私は明日もここにおりますので、可能ならば、おいでください」
それから伸一は、同行していた副会長の青田進に言った。
「明日、自由勤行会を行うことはできませんか。私は何度でも出席させてもらいます」
メンバーが歓声をあげた。
「今日は、来てよがった!」
目の前の一人ひとりが喜び勇んで立ち上がることから、新しい変革の流れが起こる。