小説「新・人間革命」源流 36 2016年10月14日
「国父ここに眠る 民衆ここに詣でる 父子共に永遠に 幸多かれと祈る
ラージ・ガートにて 二月八日」
一行は、ラージ・ガートに続いて、斜め向かいにある国立ガンジー博物館を見学した。
一つ一つの品々から、ただひたすら人びとの幸福のために尽くし抜いた七十八年の尊き一生が、ありありと眼前に迫ってくる。
なかでも伸一が強く心を打たれたのは、ガンジーが暗殺された一九四八年(昭和二十三年)一月三十日に身につけていた、血痕のついた布地であった。
彼の歩みは、まさに命を賭しての変革の戦いであったのだ。
しかし、イギリスの分離統治のもくろみや、政治的利害が絡み合い、宗教間の対立は激しさを増していった。
ガンジーは訴えてきた。「わたしの宗教は地理的な限界をもたない」(注)と。
その言葉は、人間という共通項に立脚した、宗教のあるべき姿を示している。
小説『新・人間革命』の引用文献
注 マハトマ・ガンディー著『わたしの非暴力1』森本達雄訳、みすず書房