小説「新・人間革命」 暁鐘 四十七 2017年10月26日

山本伸一は、パリにあっても、要人や識者と対話を重ねる一方で、メンバーの激励に全力を尽くした。
パリに到着した翌日の十一日には、フランスの青年メンバーとの信心懇談会に臨み、十二日にはパリ会館を訪問し、勤行会に集った人たちを激励。
さらに、懇談会を行っている。
十三日は、パリ会館での友好文化祭、フランス広布二十周年記念の銘板除幕式、記念勤行会へ。
十四日は、フランス最高協議会などに出席した。
また、パリ滞在中も、多くのメンバーと記念撮影を行い、家庭訪問にも足を運んだ。
二十一世紀の大飛躍のために、今こそ、青年を中心に、信心の基本を、創価の精神を、一人ひとりに伝えていかねばならないと決意していたのである。
十四日午前、伸一は、宿舎のホテルから、ルーブル美術館に隣接するチュイルリー公園沿いの通りを歩いていた。
地下鉄と電車を乗り継いで、ソー市のパリ会館へ行くためである。
前日も電車を利用していた。日ごろ皆が、どんな状況で活動に励んでいるかを、知っておきたかったのである。
地下鉄のチュイルリー駅の階段を下り、構内に入った時、彼は同行の幹部に言った。
「今日は、パリ会館では、青年部の第一回代表者大会が行われることになっていたね。
青年たちの新しい出発のために、詩を贈ろう。言うからメモしてくれないか」
わずかな時間であっても、広宣流布のために、有効に使いたかったのである。
ホームで口述が始まった。
 
「今 君達は
 万年への広宣流布という
 崇高にして偉大な運動の
 先駆として立った
 正義の旗 自由の旗
 生命の旗を高く掲げて立った
    
 二十一世紀は 君達の世界である
 二十一世紀は 君達の舞台である」