小説「新・人間革命」 暁鐘 五十一 2017年10月31日

広宣流布は、団結の力によってなされる。
そして、団結といっても、皆がいかなる人間観をもっているかが、重要な決め手となる。
ゆえに、山本伸一は、誰もが使命の人であるという仏法の人間観に立ち返って、団結について語っておこうと思った。
「皆が等しく広宣流布の使命をもっていても、個々人の具体的な役割は異なっています。
たとえば、一軒の家を建てる場合でも、土台を建設する人や大工仕事をする人、内装工事を行う人など、それぞれが責任をもって作業をすることで、立派な家が完成する。
広宣流布の大偉業も、さまざまな役割の人が集まり、それぞれの分野、立場で、個性を発揮しながら、力を合わせることによってなされていく。
分野、立場の違いはあっても、それは、人間の上下などではありません。
したがって同志は、互いに個性、特性を、尊重し、励まし合い、信心の連帯を強めながら、前進していかなくてはならない。
これが異体同心という、仏法の団結の姿です。
学会にも組織はありますが、それは活動を合理的に推進していくための機能上の問題にすぎない。
したがって、役職は一つのポジションであり、人間の位などでは決してない。
ただ、役職には責任が伴う。ゆえに、幹部は人一倍、苦労も多い。
同志は、皆のために働くリーダーを尊敬し、協力し、守っていくことが大事になります」
また、リーダーの在り方にも言及した。
「幹部の方々は、心の余裕をもち、決して感情的になったりせずに、皆を大きく包容していただきたい。
リーダーがピリピリし、何かに追われ、押しつぶされそうな状態では、日々、楽しく、同志を善導していくことはできないし、それでは後輩
がかわいそうです。
これから、最も幹部に求められていくのは包容力であり、温かい人間性です。いかに人格を高めるかが、信仰の力の証明となっていきます。
どうか、自身を見詰め、自らを成長させようと、真剣に唱題し、仏道修行に励んで、境涯を開いていってください」