小説「新・人間革命」 暁鐘 五十二 2017年11月1日

山本伸一は、小会合の大切さも強調した。
「小さな会合を、着実に重ねていくことです。
メンバーがそろわないことがあっても、また声をかけ、よく励まし、疑問があれば、納得するまで語り合い、友情と信頼の絆を結んでいくことが大事なんです。
寄せ返す波が岩を削るように、月々、年々に小会合を続けていけば、それが団結と前進の力になっていきます。
地道な、目立たぬところに、同じことの繰り返しのなかに、いっさいの勝敗を決する生命線があるんです」
また彼は訴えた。
ナチスと戦ったフランスのレジスタンス運動は、よく知られています。
皆さんは、日蓮大聖人の仏法を根本とし、自分の己心の魔、堕落へのレジスタンスを進めていただきたい。
また、世の中の不幸を幸福へと変えていくための、仏法のレジスタンス運動を展開していってください。
そして、一人ひとりが、生活のうえで、現実のうえで、自身の人格の輝きを示し、誰からも信頼され、慕われる、地域の柱となってください。愛するフランスのために!」
伸一は、五月十六日にソ連からヨーロッパ入りして以来一カ月、行く先々で信心懇談会を開き、激励、指導に徹してきた。
そこにこそ、ヨーロッパ広布の新時代を開く、確かなる方途があるからだ。未来の建設は、人を育てることから始まる。
また、彼は、日蓮仏法は世界宗教である。
そうであるならば、二十一世紀の広宣流布の潮は、世界の各地から起こしていかねばならないと、強く思っていたのである。
六月十六日午前、伸一は、宿舎のホテルに、既に旧知の間柄であるパリ大学ソルボンヌ校のアルフォンス・デュプロン名誉総長夫妻の訪問を受け、ヨーロッパ文化や大学教育について意見交換した。
この日の午後、伸一の一行は、シャルル・ド・ゴール空港からアメリカ・ニューヨークへと飛び立った。
広布の旅路は、常に新しき闘魂をたぎらせ、進む、連続闘争である。