小説「新・人間革命」 暁鐘 五十七 2017年11月7日

十九日の午後、ニューヨーク州のグレンコーブ市で、山本伸一が出席して、ノース・イースタン方面代表者の集いが開催された。
この日、メンバーはニューヨークをはじめ、ボストン、フィラデルフィア、さらにはカナダとの国境の町からも駆けつけ、二百人ほどが集ったのである。
会場の建物は、御本尊を安置した部屋が狭いために、幾つものグループに分かれて勤行を行い、いずれも伸一が導師を務めた。
さらに、緑陰で懇談会がもたれた。彼は、額に汗を浮かべながら、メンバーの輪の中へ入り、次々と声をかけていった。
少し沈んだ顔の婦人を見ると、こう言って励ました。
「信心を貫いていけば、いかなる苦悩の闇も払い、幸福な人生を送っていけることは間違いありません。
しっかり唱題し、学会活動に励めば、あなたが太陽となって輝いていきます。
一家を、地域を照らし出していけるんです。
太陽に涙は似合いません。
朗らかな、微笑みの人になってください」
懇談に続いて、皆で軽音楽を鑑賞した。
ニューヨークは、世界を代表する文化都市であり、メンバーにも著名な音楽家が多かった。
その世界的な奏者たちからなる軽音楽バンドが、「荒城の月」や「オーバー・ザ・レインボー」(虹の彼方に)を演奏していった。
そうしたメンバーが、常に学会活動の第一線に立ち、家庭訪問などにも積極的に取り組み、会合となれば、喜々として皆のためにイスを運んでいるという。
それを聞くと、伸一は言った。
尊いことです。本当に嬉しい。これが真実の創価学会の姿です。
御本尊のもとでは、学会での役職も、社会的な地位や名誉も、いっさい関係ありません。仏道修行には特権階級はない。全員が平等なんです。
苦労して信心に励んだ分だけ、宿命転換でき、幸せになれる。また、皆が等しく仏子として敬い合っていくのが学会の世界です」
創価学会には、真の人間共和がある。