2017-11-12から1日間の記事一覧

小説「新・人間革命」暁鐘 六十一

山本伸一がホイットマンの生家を後にした午後四時ごろ、ニューヨーク市にある高校の講堂では、日本からの親善交流団とアメリカのメンバーによる、日米親善交歓会が行われていた。 ニューヨークのコーラスグループが「スキヤキ・ソング」(上を向いて歩こう)、…

小説「新・人間革命」暁鐘 六十 2017年11月10日

ホイットマンは一八九二年(明治二十五年)三月、肺炎のため、七十二歳で世を去る。 聖職者による葬儀は行われず、友人たちが、仏典やプラトンの著作の一部を読み上げるなどして、彼を讃え、送った。 宗教的権威による儀式の拒否は、詩人の遺志であった。 彼…

小説「新・人間革命」 暁鐘 五十九 2017年11月9日

ホイットマンの生家の一階には、彼の生まれた部屋、応接間、キッチンがあった。 キッチンにはロウソク製造器やパン焼き器、大きな水入れ、天秤棒などが陳列され、原野での自給自足の生活を偲ばせた。 二階の部屋には、数々の遺品が展示されていた。直筆原稿…

小説「新・人間革命」 暁鐘 五十八 2017年11月8日

午後一時に始まった代表者の集いに続いて、五時過ぎからは、三十人ほどの中心的なメンバーと懇談会を行った。 席上、山本伸一は語った。 「ニューヨーク州では、『アイ・ラブ・ニューヨーク』をスローガンに掲げていると伺いました。 わが街、わが地域を愛す…

小説「新・人間革命」 暁鐘 五十七 2017年11月7日

十九日の午後、ニューヨーク州のグレンコーブ市で、山本伸一が出席して、ノース・イースタン方面代表者の集いが開催された。 この日、メンバーはニューヨークをはじめ、ボストン、フィラデルフィア、さらにはカナダとの国境の町からも駆けつけ、二百人ほどが…

小説「新・人間革命」暁鐘 五十六 2017年11月6日

山本伸一は、御書を拝し、指導していった。 「御聖訓には『我等が生老病死に南無妙法蓮華経と唱え奉るは併ら四徳の香を吹くなり』(御書七四〇ページ)とあります。 宿命の暗雲に覆われ、不幸に泣いて生きねばならない人もいる。 いや、多くがそうかもしれな…